ある日の午後、キッチンに立っていたら、となりの居間から、ちらちらと、光るものをかんじました。
ん?・・・なんだろう、と見やると、それは...キッチンと、部屋の間をしきる、ガラス戸のはじっこでした。白い光を背景に、細長くて黒い物体が、何本も、ゆらりゆらりしている光景です。
なんとも幻想的で、あやしい灯り、...なんの光だろう...
となりの居間は、天井ライト以外、なにも電気はつけてないので、...それに、照明にしてはおかしい、あんなふうに、ゆれる光線ではないはず...
ふしぎだ、気味わるいなあ...何もおもいあたらず、ゆっくりと、ガラス戸をあけてみると...
それは、家の外にある、立木たちの枝が、西日にてらされて、その黒い影絵が、カーテンのすき間から、直接ガラス戸に、写しだされていたのです。風がふいていたので、正体不明な幽霊のように、ヘロヘロおどっていました。
・・・なんだ・・・そうだったのか・・・
ホッとした、安心感と同時に、ここだけの、じぶんだけの、おもしろいものを発見したという、わくわくしたキモチになりました。
このアパートには、かれこれ10年以上、すんでいますが、こんな出来事は、ありませんでした。カーテンがあいていたのと、西日の角度、風向きと、条件がかさなって、演出された白黒映画・・・
にわか科学者になった気分で、大自然の、絶妙なたわむれに、しばし、かんじいっていました。
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